口説き

♪いろはの口説き♪

国はどこよと 尋ねたなれば 国は九州 豊後の国よ

豊後国なら すけがきの寺 そてつ和尚が 作らせ給う

四十と八文字 いろはの口説き (い)いとけなき子はよ 愛して通れ

(ろ)老は敬えよ 無礼はするな (は)腹が立つともよ みなまで言うな

(に)憎みょ受けるのも 我が心から (ほ)褒めてもらうとも 高慢するな

(へ)隔てなき世は 遠慮に思え (と)隣近所とは 不仲にするな

(ち)近い仲にも また垣きょ結やれ (り)理屈あるともよ 過言はするな

(ぬ)主に逢うたなら これが第一よ (る)流浪人ならよ あらけて通れ

(を)終わり果てには 我が身が知れる (わ)若い時より 心にかけて

(か)家業大事と 強固に務め (よ)良きも悪きもよ 人事言うな

(た)たとえ貴きも また卑しくも (れ)礼儀正しく 浮世を渡れ

(そ)そこつ者じゃと 言われぬように (つ)常の身持ちが 先ず第一よ

(ね)寝ても起きても 唯正直に (な)何は無くとも・・・

 

♪お民半蔵♪

国は何処かよと 尋ねたなれば 国は九州 豊後の国よ
豊後国ではよ 臼杵のご城下 臼杵ご城下の 本町筋に
村に名を得し お医者がござる  お医者その名をよ 源吾というて
一人息子には 半蔵というて 年は二十五で 男の盛り
何につけてもよ 抜け目がないよ 抜け目ないのがよ 半蔵でござる
少し離れし その隣村 三丁下りて うどん屋がござる
そこの娘に お民というて 年は十八で 番茶も出花
器量良いことは 玉子に目鼻 歩く姿がよ あの百合の花
器量良ければ 皆若い衆が お民お民と 声をかけなさる
けれどお民は 堅気でござる そこで若い衆が 腹を立てなさる
風の便りに 母さに聞こえ それで母親 半蔵を呼んで
半蔵よく聞け 意見じゃござる 聞けばお民と 訳ありそうな
そんな銅鑼つき 今止めなされ やがて家倉を 建てる時は
どんな女房でも 持たせてやろうに 嫌いなあの娘を 我が家に入れて
家の悪日の 火をたくよりも 親の意見を 聞かない者は
さあさ出て行けよ この家に置かぬ さして行くのが お民の宅よ
お民お民と 二声三声 半蔵さまかえ わしゃ待ちかねた
お民よく聞け 意見じゃないが わしは親さに 勘当受けた
親に勘当を 受けたるからにゃ 生きて居られぬ この世の中に
わしは冥土に 赴くからに 月に一度の 香花を頼む
日にち毎日 精進頼む 何を言わんす 半蔵さまえ
貴方一人は 冥土にゃやらぬ 私もあの世へ お供いたす
それじゃお民や 仕度をなされ さして行くのが 剣の山へ
ここは田の畦 すべるなお民 すべりゃしゃんすな 半蔵さまへ
ここを通れば わしゃ思い出す 頃は何時よと 尋ねたなれば
頃は五月の 田植えの頃よ あかねたすき 赤前掛けで
植えた稲さえ この世に育つ なぜに育たぬ 二人の恋は
何を言わんす そりゃ後ごとよ さあさ行きましょ 剣の山へ
急ぎゃ早いも 剣の山よ 山を登れば 山八合目
水を汲み上げ 水さかずきを 宵の酒盛り 夜明けの心中

▲ページ先頭へ

 
inserted by FC2 system